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原著
長野県諏訪地域における外来抗菌薬使用量と薬剤耐性菌の検出頻度についての検討
1)国立感染症研究所実地疫学専門家養成コース, 2)国立保健医療科学院医療・福祉サービス研究部, 3)国立感染症研究所感染症情報センター
具 芳明1), 岡本 悦司2), 大山 卓昭3), 谷口 清州3), 岡部 信彦3)
(平成23年5月9日受付)
(平成23年6月28日受理)
Key words: antimicrobial usage, national health insurance, electronic database, antimicrobial resistance, antimicrobial stewardship
要旨

 薬剤耐性菌に対する対策として抗菌薬適正使用が強調されている.しかし,抗菌薬使用量とくに外来での抗菌薬使用量を地域単位で把握する試みはこれまでになされていない.そこで,長野県諏訪地域における2009年12月から2010年5月の国民健康保険電子レセプトから抗菌薬処方情報を集計するとともに,同地域の主要病院における薬剤耐性菌の頻度を集計し,外来での抗菌薬使用量との関連について検討した.

 同地域における国民健康保険被保険者数は31,505人(人口の27.1%)であり,レセプト電子化率は医科77.4%,調剤96.0%であった.外来での抗菌薬総使用量は9.34 Defined Daily Dose(DDD)/1000被保険者・日であり,MLS(マクロライドなど),ペニシリン以外のβラクタム系,キノロン系の順であった.海外における先行研究と比べ,外来抗菌薬使用量は少なく,その内容も特徴的であった.大腸菌のキノロン耐性は外来でのキノロン系抗菌薬の使用量から予想される範囲であったが,マクロライド非感受性肺炎球菌の割合は外来でのMLS使用量から予想されるよりも高かった.

 国民健康保険電子レセプトを用いて地域での抗菌薬使用量を算出することが可能であった.抗菌薬総使用量およびその内容は,抗菌薬適正使用を含めた薬剤耐性菌対策を推進する上で有用な基礎情報になるものと考えられた.

〔感染症誌 85: 494~500, 2011〕
別刷請求先:
(〒980-8574)宮城県仙台市青葉区星陵町2-1
東北大学大学院医学系研究科感染症診療地域連携講座 具 芳明

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