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原著
第90回日本感染症学会学術講演会座長推薦論文
小児におけるヒトメタニューモウイルス感染症とRSウイルス感染症に対するModified Pulmonary Index Scoreの有用性
相模原協同病院小児科
大谷 清孝
(平成28年9月7日受付)
(平成29年3月14日受理)
Key words: modified pulmonary index score, human metapneumovirus, respiratory syncytial virus, pediatrics
要旨

 【背景・目的】ヒトメタニューモウイルス(hMPV)感染症はRSウイルス(RSV)感染症と臨床像が類似している.またModified Pulmonary Index Score(MPIS)は気管支喘息発作の重症度を評価するものである.RSV感染症におけるMPISの有用性に関する報告は散見されるが,hMPV感染症に対するMPISの報告はないため検討した.

 【方法】当院に2014年5月から2016年3月の期間にhMPV入院児(hMPV群)およびRSV入院児(RSV群)を対象にMPISを測定した.両群の診断はイムノクロマト法による迅速検査キットが陽性とし,臨床症状の有無は問わなかった.臨床情報や血液検査等を診療録より抽出し,後方視的に比較検討した.検討項目は患者背景,臨床情報,MPISと入院期間および各治療の有無等とした.除外対象として,早産児,染色体異常,高次医療機関へ搬送,当院へ転院症例,およびパリビズマブ投与例とした.

 【結果】対象はhMPV群が38例(男児17例),RSV群が115例(男児63例)であった.月齢の中央値(範囲)はhMPV群が17カ月(1~58カ月)でRSV群が7カ月(1~46カ月)であり,hMPV群の方が有意に高かった(p<0.01).hMPV群はRSV群と比較して,発熱(97% vs 82%,p=0.02)が有意に多く,鼻汁(82% vs. 98%,p=0.03)が少なく,さらに気管支喘息の合併が多かった(39% vs. 12%,p<0.01).入院時MPISの中央値(範囲)は両群間で有意な差を認めなかった.hMPV群において,入院時MPISと入院期間に有意な正の相関関係を認めた(r2=0.26,p<0.01).月齢を考慮した多変量解析では,hMPV群はRSV群と比較して,鼻汁(オッズ比0.06,95%信頼区間0.01~0.59,p=0.02),呼吸数(オッズ比0.89,95%信頼区間0.83~0.96,p<0.01),およびLDH(オッズ比11.2,95%信頼区間1.2~108,p=0.03)で有意差を認めた.hMPV群の治療の選択とMPISによるROC曲線から算出された各カットオフ値は,酸素投与が4.5点(area under curve:AUC 0.90,p<0.01),β2刺激薬吸入療法が3.5点(AUC 0.94,p<0.01),および全身ステロイド薬投与が5.5点(AUC 0.87,p<0.01)であった.

 【結論】MPISがhMPV感染症およびRSV感染症の入院期間や治療の選択の指標として有用であることが示唆された.

〔感染症誌 91: 558~567, 2017〕
別刷請求先:
(〒252-5188)神奈川県相模原市緑区橋本2-8-18
相模原協同病院小児科 大谷 清孝

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