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原著
第90回日本感染症学会学術講演会座長推薦論文
高感度インフルエンザ抗原迅速検査システムの有用性
1)長崎大学病院検査部, 2)長崎大学大学院医歯薬学総合研究科病態解析・診断学, 3)長崎大学大学院医歯薬学総合研究科臨床感染症学, 4)長崎大学大学院医歯薬学総合研究科呼吸器内科学
岩永 祐季1), 小佐井 康介1), 松田 淳一1), 賀来 敬仁2), 森永 芳智2), 長谷川 寛雄1), 宮崎 泰可3), 泉川 公一3), 迎 寛4), 栁原 克紀1)2)
(平成29年1月5日受付)
(平成29年3月27日受理)
Key words: immunochromatography, silver amplification, neuraminidase inhibitor
要旨

 インフルエンザウイルスの検出において銀増幅により感度を高めたイムノクロマト法(IC法)の有用性を検討した.2014年12月から2015年1月までに長崎大学病院においてインフルエンザ抗原検査が依頼された検体を対象に,従来法と銀増幅IC法で測定を行い,結果を比較した.解析対象となった203検体に対して両検査法の一致率は94.1%(191/203)であった.陽性率は銀増幅法15.8%(32/203),従来法10.8%(22/203)であり前者で有意に高かった.本検討では従来法の結果のみを依頼者へ返却し,その結果に基づいて実施される診療を観察することにより,従来法と銀増幅IC法との結果の乖離が診療に与えうる影響を検討した.銀増幅IC法が陽性となった32症例(従来法陽性21症例,陰性11症例)が実際はインフルエンザであったとして,それらを従来法の結果によって2群に分類して比較検討を行った.銀増幅IC法が陽性となった32症例のうち,ノイラミニダーゼ阻害薬が投与されたのは,従来法が陰性の場合には9.1%(1/11)であったのに対し,陽性の場合には90.5%(19/21)と後者で有意に高かった.抗菌薬が投与された割合は,従来法が陰性の場合45.5%(5/11)であったのに対し,陽性の場合には19.0%(4/21)と後者で低い傾向であった.院内感染対策に与えうる影響についても検討したところ,銀増幅IC法が陽性であったにもかかわらず従来法が陰性となった6名はインフルエンザの診断に至らず,適切にノイラミニダーゼ阻害薬が投与されないまま入院もしくは入院継続となった.

 銀増幅IC法により高感度にインフルエンザウイルスを検出できれば,適切なノイラミニダーゼ阻害薬の投与や不要な抗菌薬投与の抑制,および適切な感染対策の実施に貢献できる可能性が示唆された.

〔感染症誌 91: 747~751, 2017〕
別刷請求先:
(〒852-8501)長崎市坂本1-7-1
長崎大学病院検査部 小佐井 康介

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