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原著
HIV/HCV重複感染症例のHCVに対する治療成績と長期予後の検討
1)独立行政法人国立病院機構福山医療センター感染症内科, 2)広島大学病院輸血部, 3)広島大学病院エイズ医療対策室, 4)中国電力病院臨床検査科
齊藤 誠司1)2)3), 山崎 尚也2)3), 藤井 輝久2)3), 高田 昇4)
(平成29年1月23日受付)
(平成29年6月22日受理)
Key words: HIV, HCV, coinfection, interferon, hemophilia
要旨

 序文:HIV/HCV重複感染ではHCV単独感染と比較して,線維化の進行が早く,発癌リスクが高い.線維化進展例や高齢者では,インターフェロン(interferon;IFN)治療成功例においても発癌リスクが高くなるため注意を要する.感染から30年以上が経過した非加熱血漿由来製剤による重複感染者では,C型肝炎関連による死亡数の増加が問題となっているが,その長期予後を示した報告は少ない.

 対象と方法:2005年4月から2016年10月までの期間で広島大学病院に通院歴のあるHIV感染者313名のうち,初診時もしくは通院中にHCV-RNA陽性を確認した重複感染者15例(5%)を対象とし,HCVの治療歴と治療効果,長期的な予後について後方視的に検討した.

 結果:対象例のうち12例でIFNベースの治療が施行されており,sustained virologic response(SVR)は10例(83%)であった.うち24カ月以上の長期に渡り観察できた7例(長期観察群)の年齢中央値は50歳,治療終了からの観察期間中央値は118カ月で,この間に再発例はなかった.未治療2例を含むウイルス検出例が5例(ウイルス検出群)あり,うち4例でIFNフリーの直接作用型抗ウイルス薬(Direct Acting Antivirals;DAAs)による治療が行われ,3例でウイルスが陰性化した.肝癌の発症は長期観察群,ウイルス検出群とも1例ずつあり,ともに遺伝子型は3a,アルコール摂取や糖尿病といったリスク因子があった.手術時の肝生検ではA3,F4と線維化が進展していた.

 結論:本院においてはHIV/HCV重複感染者のHCVに対する治療成績は概ね良好であった.しかしながらHCV単独感染と同様にIFNにてSVRが得られていても,線維化進展例やリスク因子保有例では肝癌の発症を認めていた.肝癌の早期発見のために,より注意深くスクリーニング検査を行うことが重要である.

〔感染症誌 91: 924~929, 2017〕
別刷請求先:
(〒720-8520)広島県福山市沖野上町4丁目14-17
独立行政法人国立病院機構福山医療センター感染症内科 齊藤 誠司

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