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原著
薬剤耐性対策アクションプランの成果指標による小児病院の抗菌薬適正使用プログラムの評価
1)東京都立小児総合医療センター感染症科, 2)東京都立小児総合医療センター検査科細菌検査室, 3)あいち小児保健医療総合センター総合診療科, 4)静岡県立こども病院小児感染症科
堀越 裕歩1), 樋口 浩2), 相澤 悠太1), 磯貝 美穂子1), 伊藤 健太3), 荘司 貴代4)
(平成29年1月20日受付)
(平成29年6月30日受理)
Key words: antimicrobial stewardship program, antimicrobial resistance, national action plan, child
要旨

 耐性菌対策は国際社会で取り組む課題であり,2016年に日本も薬剤耐性対策アクションプランを発表した.東京都立小児総合医療センターでは,2011年より抗菌薬適正使用プログラムを導入し,特定抗菌薬の許可制,抗菌薬感受性の制限報告,抗菌薬投与の標準化,薬剤のTherapeutic Drug Monitoringの導入,教育などを行った.この評価を日本のアクションプランの成果指標を用いて行った.抗菌薬使用量の変化率は,導入前後の2010年と2015年度を比較し,細菌の耐性率は2015年度のデータを用いた.使用量は,入院でDays of Therapy/1,000延べ入院患者日数,外来で処方件数/1,000外来受診者数を用いた.

 入院および外来の抗菌薬使用量の変化率はそれぞれ-8.0%,-27.6%(目標-33%),静注抗菌薬の使用量の変化率は+5.0%(同-20%)は達成できなかった.特定抗菌薬は,入院静注薬で-23.0%,入院内服で-73.9%,外来内服で-91.2%と有意な使用量の削減が行えた.種類別の使用量の変化率では,経口セファロスポリン系は-49.6%,経口マクロライド系は-54.9%,経口フルオロキノロン系は-85.7%と目標-50%は,ほぼ達成できた.肺炎球菌のペニシリン耐性率は47.8%(同15%以下),黄色ブドウ球菌のメチシリン耐性率は39.4%(同20%以下),大腸菌のレボフロキサシン耐性率は29.1%(同25%以下)といずれも達成できなかった.イミペネム耐性率では,大腸菌0.8%(同0.1~0.2%)と達成できなかったが,緑膿菌9.2%(同10%以下),肺炎桿菌0%(同0.1~0.2%)と達成できた.

 内服使用量は目標達成できた.静注は特定抗菌薬以外の適正化が必要である.また耐性菌率は単独施設での達成は困難で,全ての医療機関で抗菌薬の適正使用を推進する必要がある.

〔感染症誌 91: 936~942, 2017〕
別刷請求先:
(〒183-8561)東京都府中市武蔵台2-8-29
東京都立小児総合医療センター感染症科 堀越 裕歩

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