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原著
長野県松本地域の1医療機関における小児呼吸器感染症由来ウイルスの検出状況
1)長野県環境保全研究所, 2)長野県上田保健福祉事務所
中沢 春幸1), 嶋﨑 真実2), 竹内 道子1), 粕尾 しず子1)
(平成28年11月28日受付)
(平成29年9月8日受理)
Key words: RS virus, human rhinovirus, wheezing, surveillance
要旨

 乳幼児期のウイルス性呼吸器感染症は,喘鳴を呈し重症化することがある.近年,特にRSウイルス感染症患者の報告数は増加しており,発生動向を調査することは重要である.本研究は,長野県松本市の1医療機関において2013年10月~2016年2月までに,小児急性下気道炎患者から採取した咽頭ぬぐい液または鼻腔ぬぐい液301検体を検査材料とし,RSウイルス(RSV),ライノウイルス(HRV)等の検出を行い,喘鳴合併の有無について検討した.また,同地区のRSウイルス感染症患者の発生動向を合わせて検討した.検査した301検体中269検体(89.4%)からウイルスが検出された.RSVは,当地区の流行期である晩秋から春先にかけて患者報告数の増加にともない138検体から検出され,喘鳴を認める患者は検出患者の57%を占めた.また,その比率は流行シーズンを経るごとに増加する傾向にあった.一方,HRVは112検体から検出され,そのうち61.9%が喘鳴を呈し,調査期間を通じてHRVによる喘鳴が認められたことから,近年,HRV感染症もRSVと同様に,症状の重症化に関与する可能性が推察された.

〔感染症誌 91: 948~955, 2017〕
別刷請求先:
(〒380-0944)長野県長野市安茂里米村1978
長野県環境保全研究所感染部 中沢 春幸

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