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原著
高齢者等ハイリスク者に対する長時間作用型ノイラミニダーゼ阻害剤laninamivir octanoate hydrateの予防投与における安全性とインフルエンザ発症予防効果の検討
1)東北大学加齢医学研究所抗感染症薬開発研究部門, 2)日本臨床内科医会, 3)第一三共株式会社
渡辺 彰1), 柏木 征三郎2), 池松 秀之2), 山口 広貴3), 關 静香3), 塩境 一仁3)
(平成29年10月16日受付)
(平成29年11月20日受理)
Key words: laninamivir, long-acting neuraminidase inhibitor, influenza, prophylaxis, high-risk patient
要旨

 今回,我々は,高齢者施設入所者及び医療機関入院患者を対象とした特定使用成績調査を実施することにより,インフルエンザウイルス感染の本来の予防対象である高齢者等ハイリスク者に対するラニナミビルオクタン酸エステル水和物(以下,ラニナミビル)の安全性ならびに予防効果を検討した.安全性評価対象症例479例は,全例が65歳以上の高齢者で,ラニナミビルの予防投与に起因する副作用は認められなかった.有効性評価対象症例440例のうち,予防投与から10日間の間に何らかのインフルエンザ症状が認められた症例は17例(3.9%)であった.インフルエンザウイルス感染症(疑いを含む)の発症率は2.5%(11例/440例)であり,若年の健常者が主な対象の開発治験の成績と比較しても,ハイリスク者に対するラニナミビルの安全性・予防効果に問題は認められなかった.

 なお,予防投与時にインフルエンザ症状がない場合でもPCR検査「陽性」例が5.2%(23例/440例)認められ,「同一居室・病棟」で7.4%(5例/68例),「同一フロア・病棟」で5.3%(18例/341例)であった.今回の成績より,高齢者等のハイリスク者が入所又は入院する施設内でのインフルエンザの予防に,ラニナミビルを投与した際の安全性が確認された.また,施設内でインフルエンザ感染症が発症した場合,既に周囲にインフルエンザウイルスが拡散している可能性もあるため,ラニナミビル40 mg単回あるいは20 mg,1日1回,2日間吸入による早期からの予防投与を考慮する必要があると考えられた.

〔感染症誌 92: 51~60, 2018〕
別刷請求先:
(〒103-8426)東京都中央区日本橋本町3-5-1
第一三共株式会社安全管理推進部 關 静香

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