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原著
当院における過去13年間の侵襲性インフルエンザ菌感染症の検討
1)横浜市立大学附属市民総合医療センター感染制御部, 2)横浜市立大学附属市民総合医療センター臨床検査部, 3)横浜市立大学附属市民総合医療センター薬剤部, 4)横浜市衛生研究所微生物検査研究課, 5)横浜市立大学大学院医学研究科発生成育小児医療学
清水 博之1), 木田 沙緒里2), 杉山 嘉史2), 椙山 聡一郎3), 松本 裕子4), 太田 嘉4), 築地 淳1), 宮島 栄治2), 伊藤 秀一5)
(平成29年8月22日受付)
(平成29年12月18日受理)
Key words: Haemophilus influenzae, vaccine, bacteremia, non-typeable
要旨

 2013年に乳幼児へのインフルエンザ菌b型(Haemophilus influenzae type b:Hib)ワクチンが定期接種化された.以後,小児における侵襲性Hib感染症は激減した.しかし,新たにHibワクチンではカバーされない無莢膜型インフルエンザ菌(non-typeable H. influenzae:NTHi)感染症の台頭が危惧されている.このため,過去13年間に当院で経験した全年齢での侵襲性インフルエンザ菌感染症について検討を行った.2003年1月から2015年10月の間に血液培養からH. influenzaeが検出された20症例を解析対象とし,莢膜型別免疫血清を用いたスライドグラス凝集法およびPCR法で血清型別を決定した.患者年齢分布は小児11例(年齢中央値2歳,13日~5歳),成人9例(年齢中央値71歳,29歳~88歳)であった.莢膜型を特定しえた小児8例は全例b型であり,小児例は全例2010年までに偏在していた.一方,成人9例中8例は2012年以降に偏在し,NTHiが6例,e型が1例であった.感染臓器の内訳は,髄膜炎5例(全例小児),急性喉頭蓋炎5例(全例小児),肺炎5例(全例成人),胆管炎3例(全例成人),子宮内感染1例(成人),不明1例(小児)であった.乳幼児に対するHibワクチンの普及後,乳幼児の侵襲性Hib感染症は激減した.一方で成人の髄膜炎,喉頭蓋炎以外の侵襲性NTHi感染症の顕在化が推測され,今後の動向に注意を払うべきと考えられた.

〔感染症誌 92: 347~352, 2018〕
別刷請求先:
(〒251-8550)神奈川県藤沢市藤沢2-6-1
藤沢市民病院臨床検査科 清水 博之

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