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原著
梅毒に対するアモキシシリン1,500 mg内服治療の臨床的効果
1)がん・感染症センター都立駒込病院感染症科, 2)がん・感染症センター都立駒込病院感染制御科, 3)東京医科大学病院臨床検査医学科, 4)ハーバード公衆衛生大学院, 5)東京都保健医療公社豊島病院
池内 和彦1), 福島 一彰1), 田中 勝1), 矢嶋 敬史郎1), 関谷 紀貴2), 関谷 綾子3), 柳澤 如樹4), 味澤 篤1)5), 今村 顕史1)
(平成29年7月18日受付)
(平成30年1月25日受理)
Key words: syphilis, amoxicillin
要旨

 近年,本邦における梅毒患者が急増している.諸外国において梅毒に対する標準治療薬であるベンザチンペニシリンGの筋肉注射は,本邦では使用できない.日本性感染症学会から発行されている「性感染症 診断・治療ガイドライン2016」では,梅毒に対する標準的治療としてアモキシシリン(AMPC)単剤の内服治療が推奨されているが,根拠となるエビデンスは十分とは言えない.今回我々は,経口AMPC 1,500 mg/日単剤による治療を行った63名の梅毒患者(HIV患者47例,年齢中央値40歳)を対象に,その治療効果を後方視的に検討した.治療効果判定についてはRapid plasma reagin自動化法の値が,診断時から1年以内に1/4以下へ低下した場合を治療成功と定義した.治療成功率は,全患者の95.2%(95% Confidence interval(CI),86.7~99.0%),HIV患者の95.7%(95% CI,85.5~99.5%),非HIV患者の93.8%(95% CI,69.8~99.8%)であった.梅毒の病期毎の治療成功率は,早期梅毒の97.8%(95% CI,88.5~99.9%),後期梅毒の88.2%(95% CI,63.6~98.5%)であった.今回の検討では,HIV感染症の有無や,梅毒の病期に関わらず,経口AMPC 1,500 mg/日単剤治療は,梅毒に対して高い治療成功率を認めていた.

〔感染症誌 92: 358~364, 2018〕
別刷請求先:
(〒113-8677)東京都文京区本駒込3-18-22
がん・感染症センター都立駒込病院感染症科 福島 一彰

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