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雑報
腸チフス・パラチフスの診断とWidal反応
1)がん・感染症センター都立駒込病院感染症科, 2)東京都立駒込病院臨床検査科・感染制御科, 3)国立感染症研究所
増田 剛太1), 今村 顕史1), 関谷 紀貴2), 泉谷 秀昌3)
(平成29年12月4日受付)
(平成30年3月29日受理)
Key words: typhoid fever, paratyphoid fever, Widal reaction, Vi antigen
要旨

 東京都立駒込病院感染症科で1975~2002年の期間(28年間)に診療し,細菌学的にチフス菌,パラチフスAまたはB菌が検出され,腸チフス,パラチフスAまたはBと確定診断が得られた症例のうち,Widal反応が行われた合計188症例の診療録に基づきその有効性を後方視的に検討した.検査の判定は菌の表層抗原Oに対する凝集価が腸チフスで1:160以上,パラチフスAで1:80以上,パラチフスBで1:160以上を,また,Vi凝集価は1:20以上をそれぞれ陽性とした.症候性症例(患者例)でのO凝集価陽性率(sensitivity)は腸チフスで29/99例(29.3%),パラチフスAで8/47例(17.0%),パラチフスBでは4/6例(66.7%)であった.各病原体の無症候性症例(保菌者例)での陽性率は各々0/14例(0%),0/5例(0%),2/17例(11.8%)ときわめて低かった.非サルモネラ性発熱性疾患61例を陰性コントロール症例に選ぶと,今回集計した腸チフス,パラチフスA・Bに対するWidal反応の特異度(specificity)はいずれも100%であった.また,Vi凝集価による腸チフスの陽性率は患者症例で5/99例(5.1%),保菌者例で1/14例(7.1%)と極めて低かった.海外からの報告による近年の腸チフスのWidal反応O凝集価陽性率は20~90%と国・地域・年代や報告者により大きく異なっていた.

〔感染症誌 92: 561~567, 2018〕
別刷請求先:
(〒113-8677)東京都文京区本駒込3-18-22
がん・感染症センター都立駒込病院感染症科 増田 剛太

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