欧文情報を見る


原著
第90回日本感染症学会総会学術講演会座長推薦論文
医療機関の給水設備におけるレジオネラ属菌の汚染実態
1)神奈川県衛生研究所微生物部, 2)国立感染症研究所細菌第一部, 3)国立感染症研究所寄生動物部
大屋 日登美1), 鈴木 美雪1), 政岡 智佳1), 中嶋 直樹1), 古川 一郎1), 前川 純子2), 倉 文明2), 泉山 信司3), 黒木 俊郎1)
(平成29年11月7日受付)
(平成30年6月15日受理)
Key words: Legionella, colonization, water supply system, hospital
要旨

 院内感染のレジオネラ症が世界で多数報告されており,給水設備が感染に関与していることが知られている.しかし,我が国における医療機関の給水設備のレジオネラ属菌による汚染実態はあまり明らかにされていない.本調査では,神奈川県内の3医療機関を対象に給水設備のレジオネラ属菌による汚染を遺伝子の検出と培養により調査した.医療機関内の蛇口水及びシャワー水と蛇口及びシャワーヘッドのスワブを検体とし,3医療機関でのレジオネラDNAの検出は水試料では6.7~93.8%,スワブ試料では0~7.1%であり,培養によるレジオネラ属菌の検出は水試料では26.7~66.7%,スワブ試料では0~14.3%であった.検出されたレジオネラ属菌は,Legionella pneumophila SG1,SG5,SG6,Legionella feeleii SG1及びLegionella sp. L-29であった.水試料の温度,pH,遊離残留塩素濃度,従属栄養細菌数を計測し,レジオネラDNA及びレジオネラ属菌の検出との関連をロジスティック回帰分析により解析したところ,遊離残留塩素濃度との間に負の関連がみられた.医療機関の給水設備において高率にレジオネラ属菌による汚染が発生しており,汚染防止対策が強く求められる結果となった.

〔感染症誌 92: 678~685, 2018〕
別刷請求先:
(〒794-8555)愛媛県今治市いこいの丘1-3
岡山理科大学獣医学部獣医学科 黒木 俊郎

PDFを閲覧するためにはAdobe Readerが必要です