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原著
阪神地区地域ネットワークにおける薬剤耐性腸内細菌科細菌の検出状況
1)西宮市立中央病院口腔外科・感染対策室, 2)兵庫県立尼崎総合医療センター, 3)兵庫医科大学
網野 かよ子1), 遠藤 和夫2), 河本 まゆみ2), 植田 貴史3), 中嶋 一彦3), 一木 薫3), 和田 恭直3), 竹末 芳生3)
(平成30年5月29日受付)
(平成30年11月16日受理)
Key words: extended-spectrum β-lactamase (ESBL) -producing bacteria, Carbapenem-resistant Enterobacteriaceae, community acquired infection, carbapenemase
要旨

 【背景】阪神地区における薬剤耐性腸内細菌科細菌の検出状況と抗菌薬感受性の検討を行った.

 【方法】9病院におけるextended spectrum β-lactamase(ESBL)産生菌,Carbapenemase-producing Enterobacteriaceaeカルバペネム分解酵素産生腸内細菌科細菌(CPE)とCarbapenem-resistant Enterobacteriaceaeカルバペネム耐性腸内細菌科細菌(CRE,ただし本検討ではカルバペネム分解酵素産生カルバペネム耐性腸内細菌科細菌を除いた細菌)の検出状況について2014年~2015年の分離株を,市中発生,市中医療関連発生,病院発生に分類し検討した.

 【結果】総グラム陰性桿菌22,241株中,ESBL産生菌検出率は7.1%で2010年~2011年に行った同様の調査の3.5%と比較すると倍増していた.CPEは0.4%,CREは1.0%であった.ESBL産生菌全1,577株中Escherichia coliは1,278株でESBL産生菌全体の81%を占め,CPEは全78株中46株がKlebsiella pneumoniaeで59%を占めた.CREはEnterobacter属が高率であった.E.coliにおいてESBL産生菌の占める割合は20.6%,K. pneumoniaeにおいては8.9%がESBL産生菌であった.ESBL産生菌は,市中発生がCPE,CREと比較し有意に高率で,市中医療関連発生は,CPEより高率の傾向,CREより有意に高率であった.ESBL産生菌の感性率はmeropenem(MEPM),cefmetazole(CMZ),tazobactam/piperacillin(TAZ/PIPC),amikacin(AMK)が高率であった.CPEはAMK,TAZ/PIPCに対し高い感性率を示し,CREではこれらに加えlevoloxacin(LVFX)にも高い感性率を示した.CPEのimipenem(IPM)に対する感性率は94.3%,MEPMに対しては15.5%,一方CREのIPMに対する感性率は15.0%,MEPMに対しては72.7%とCPEとは逆にIPMに低い感性率,MEPMに比較的高い感性率を示した.

 【結論】CPEの検出は未だ低率であったが,ESBL産生菌はこの4年間で増加した.CREはほとんどEnterobacter属であり,複数の抗菌剤に比較的高い感性率を示した.CPEは使用可能な抗菌剤も限られ,院内感染対策上,より厳密な対策が必要であると考えられた.

〔感染症誌 93: 125~131, 2019〕
別刷請求先:
(〒663-8014)西宮市林田町8番24号
西宮市立中央病院口腔外科・感染対策室 網野 かよ子

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