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原著
東海ブロックにおけるHIV-1非サブタイプBの動向調査と伝播性薬剤耐性変異の頻度
1)独立行政法人国立病院機構名古屋医療センター(現 MSD株式会社)(**現 ヴィーブヘルスケア株式会社), 2)浜松医療センター, 3)岐阜大学医学部附属病院, 4)安城更生病院, 5)地方独立行政法人三重県立総合医療センター, 6)聖隷三方原病院, 7)藤枝市立総合病院, 8)社会医療法人宏潤会大同病院, 9)三重大学医学部附属病院, 10)静岡県立静岡がんセンター, 11)トヨタ記念病院, 12)国立感染症研究所
岡崎 玲子1), 重見 麗1), 松田 昌和1), 久保田 舞1), 矢野 邦夫2), 鶴見 寿3), 奥村 暢将4), 谷口 晴記5), 志智 大介6), 池谷 健7), 伊藤 公人8), 松本 剛史9), 倉井 華子10), 川端 厚11), 羽柴 知恵子1), 中畑 征史1), 小暮 あゆみ1), 服部 純子1)*, 伊部 史朗1)**, 今橋 真弓1), 岩谷 靖雅1), 杉浦 亙1)**, 吉村 和久12), 蜂谷 敦子1), 横幕 能行1)
(平成30年10月3日受付)
(平成31年1月15日受理)
Key words: human immunodeficiency virus type 1 (HIV-1), subtype, transmitted drug resistance (TDR), surveillance
要旨

 2009年から2017年までに東海ブロック(愛知県,静岡県,岐阜県,三重県)のHIV/AIDS診療拠点病院を受診したHIV-1新規診断症例から分離されたHIV-1非サブタイプBの動向と伝播性薬剤耐性変異の頻度について解析を行った.

 東海ブロックで検出された非サブタイプBは11.2%を占めていた.CRF01_AE,サブタイプC,CRF02_AGが多く,その他にサブタイプA,F,G,ならびにBF組換えウイルスが検出された.推定感染場所は,CRF01_AE,サブタイプC,CRF02_AGいずれも国内が多かった.特にCRF02_AGの感染症例が東海ブロックで増えており(1例:2009~2011,4例:2012~2014,7例:2015~2017),分子系統樹解析から12例中8例のウイルスは一つの伝播クラスターを形成していた.この伝播クラスターの感染経路は同性間,異性間,同性・異性間性的接触であり,複数のハイリスク集団に急速に伝播していると思われた.

 非サブタイプB,伝播性薬剤耐性ウイルスに感染した症例の割合は8.0%と,国内の報告に比べ低い傾向であった.治療薬の作用機序別でみると,核酸系逆転写酵素阻害剤が3.6%,プロテアーゼ阻害剤が3.6%,非核酸系逆転写酵素阻害剤が1.8%であった.しかしCRF01_AE症例に限ってみると伝播性薬剤剤耐性ウイルスの割合は13.2%と高く,アジアでの感染が推測される症例から多剤耐性ウイルスが検出された.国内でオリンピック等の国際的なイベントの開催や,外国人観光客の急激な増加,外国人就労拡大により,今後国外で流行するHIVによる感染症例が増加する可能性が非常に高い.感染予防策を講じる上で,東海ブロックで流行するHIV-1の傾向ならびに伝播性薬剤耐性に関する分子疫学調査をさらに強化していく必要があると思われた.

〔感染症誌 93: 298~305, 2019〕
別刷請求先:
(〒460-0001)愛知県名古屋市中区三の丸4-1-1
独立行政法人国立病院機構名古屋医療センター臨床研究センター生体情報解析室 蜂谷 敦子

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