欧文情報を見る


原著
妊婦におけるB群溶血性レンサ球菌(GBS)の保菌検査へのreal-time PCR法の応用
1)株式会社ミロクメディカルラボラトリー, 2)慶應義塾大学医学部感染症学教室
中原 剛1), 玉井 清子1), 諸角 美由紀2), 生方 公子2)
(平成30年12月28日受付)
(平成31年4月26日受理)
Key words: Streptococcus agalactiae (GBS), real-time PCR, capsular typing
要旨

 【背景と目的】B群溶血性レンサ球菌(GBS:Streptococcus agalactiae)は,新生児侵襲性感染症の重要な原因菌のひとつであり,発症例の予後不良率は高い.GBS表層に存在する多糖体莢膜は病原因子として重要で,発症例のほとんどは莢膜型Ia,Ib,あるいはIIIによって惹起される.児のGBS感染は,大部分が出産時の産道感染によって生ずる.この理由で,わが国でも妊娠後期の妊婦に対してGBS保菌検査が既に実施されている.しかし,培養検査では莢膜型の同定なしでも報告までに数日を要する.著者らは,このようなことからGBSとその莢膜型同定を行うために,研究用試薬として構築された「Cycleave PCR GBS Detection Kit」と「GBS Capsular Typing Kit」を妊婦から得られた検査材料に応用した.そしてそれらの結果を培養検査のそれと比較した.

 【対象と方法】産科病院の多施設から収集された妊娠後期の妊婦から採取された膣ぬぐい液および膣・肛門ぬぐい液を対象とした.500検体が2017年7月1日から約4カ月間に収集された.GBS培養検査は日常業務として行われ,PCR法によるそれは添付文書のプロトコールに従って実施された.PCR法によるGBS莢膜型別はIa,Ib,およびIII型を対象とした.

 【成績】GBS陽性は,PCR法では84検体(16.8%),培養検査では76検体(15.2%)であった.それらのうち,10検体はPCR法のみで陽性であった.PCR法は,感度97.4%,特異度97.6%と優れていた.PCR法と培養検査の両方法とも陽性であったのは74検体であった.そのうち,42検体(56.8%)がPCR法でIa(n=9),Ib(n=12),III(n=21)に型別された.それに対し,血清凝集法では3つの莢膜型の判明率は47.3%であった.PCR法による報告までの所要時間は2.5時間であった.

 【結論】PCR法によるGBSの検索と莢膜型別は,培養検査と比較して感度,特異度,迅速性の点で明らかに優れていた.妊婦と新生児のGBS検査に対し,ここで述べたPCR法を応用することは,臨床の場で有用性が高いであろうと結論された.

〔感染症誌 93: 507~514, 2019〕
別刷請求先:
(〒384-2201)長野県佐久市印内659-2
株式会社ミロクメディカルラボラトリー 中原 剛

PDFを閲覧するためにはAdobe Readerが必要です