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原著
臨床検体からパラインフルエンザウイルス1,2,3,4型を検出・遺伝子解析するための新たなMultiplex-RT-Nested PCR法の検討
1)さいたま市健康科学研究センター, 2)さいたま市保健所
蕪木 康郎1), 上野 裕之1), 嘉悦 明彦2), 泊 賢太郎1), 菊地 孝司1), 小堀 すみえ1), 宮崎 元伸1)
(令和元年7月17日受付)
(令和元年10月17日受理)
Key words: human parainfluenza virus, multiplex RT-nested PCR, hemagglutinin-neuraminidase sequence, phylogenetic analysis
要旨

 ヒトパラインフルエンザウイルス(Human Parainfluenza Virus:HPIV)は4つの型に分類されており,遺伝子検査には,文献で報告された型別可能なMultiplex-RT-Nested-PCR法(既報方法)が広く用いられている.しかしながら既報方法で得られる増幅産物の塩基配列は短く,特に3型は解析に供する塩基配列が60塩基であることから系統樹解析の実施が困難だった.そこで,HPIVを高感度に検出でき,加えて系統樹解析が可能な塩基配列長が得られるMultiplex-RT-Nested-PCR法(本法)の開発を試み,HPIVのHN領域を標的としたプライマーを新たに設計した.その結果,本法のNested-PCRにより,HPIV1型,2型,3型,4型各々で652bp,950bp,843bp,552bpの増幅産物が得られた.既報方法を用いて既にHPIV遺伝子が検出されている193検体に対して本法を実施したところ,全ての検体からHPIV遺伝子が検出された.また,他の呼吸器症状を引き起こすウイルス12種に対して本法を実施したところ,交差反応は認められなかった.

 さらに,本法によって得られた増幅産物に対してダイレクトシーケンスを実施し,決定された塩基配列を用いて系統樹解析を行った.解析領域は,Nested-PCR用プライマー部分まで除いた,HPIV1型608nt,2型907nt,3型799nt,4型510ntとした.系統樹解析の結果,HPIV1型,2型,3型の検体は既知のクラスターに分類をすることができ,HPIV4型の検体はサブタイプを分類することができた.

 以上の結果から,本法は,HPIVを検出,そして解析する遺伝子検査の一つとして,有用であることがわかった.

〔感染症誌 94: 86~96, 2020〕
別刷請求先:
(〒338-0013)さいたま市中央区鈴谷7丁目5番12号
さいたま市健康科学研究センター保健科学課 蕪木 康郎

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