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原著
高感度HBsAg測定試薬の改良による偽陽性抑制効果の検討
1)札幌医科大学附属病院 検査部, 2)札幌医科大学医学部 感染制御・臨床検査医学講座, 3)札幌医科大学医学部腫瘍内科学講座
米澤 仁1), 田中 信悟1)2)3), 八鍬 佑貴1), 髙橋 聡1)2)
(令和元年5月16日受付)
(令和元年10月16日受理)
Key words: HBs antigen, high sensitivity, false positive
要旨

 近年,高感度HBs抗原測定試薬が開発され,その有用性が報告されている.しかし,その高感度化の弊害として特異性の低下(偽陽性)が危惧されている.偽陽性を避けるため,低値陽性例にはHBs抗体を用いた抑制試験でその真偽を確認することが推奨されているが,実施している施設は多くない.従って,高感度HBs抗原測定試薬を導入しているが抑制試験を実施していない施設では,HBs抗原偽陽性例が増加している可能性がある.2018年4月,特異性の向上を目的として高感度HBs抗原測定試薬「ルミパルスプレストHBsAg-HQ」の改良が行われた.今回,本試薬の性能について検討を行ったので報告する.

 対象は改良前「ルミパルスプレストHBsAg-HQ」にて偽陽性と判定された7検体とした.本検討における偽陽性の基準は「HBs抗原定量値がカットオフ(0.005 IU/mL)以上かつ抑制試験にて陰性」とした.測定には全自動化学発光酵素免疫測定システム「ルミパルスL 2400」を使用した.

 改良後試薬を用いてHBs抗原値を測定した結果,改良前試薬で偽陽性とされた7検体中5検体でHBs抗原はカットオフ値(0.005 IU/mL)未満であった.検出限界は0.0015 IU/mLであり,改良前と比較して同等であった.偽陽性の原因として非特異反応の可能性について検討したところ,標識アルカリフォスファターゼに対する非特異反応と考えられる検体を認めた.改良前試薬での測定期間における月別偽陽性発生率は平均0.26%であったが,改良後試薬へ移行後は平均0.09%と低下傾向を認めた.

 以上から,改良後「ルミパルプレストスHBsAg-HQ」を用いることで偽陽性率の低下が期待でき,抑制試験数および偽陽性の「誤報告」を減少できる可能性がある.

〔感染症誌 94: 97~101, 2020〕
別刷請求先:
(〒060-8543)北海道札幌市中央区南1条西16丁目291
札幌医科大学附属病院検査部 米澤 仁

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