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原著
東京都内に流通する食品からのMRSA検出状況と分離菌株の薬剤感受性
東京都健康安全研究センター微生物部
下島 優香子, 添田 加奈, 鈴木 康規, 福井 理恵, 加藤 玲, 平井 昭彦, 鈴木 淳, 貞升 健志
(令和元年6月21日受付)
(令和元年11月28日受理)
Key words: MRSA, multilocus sequence typing (MLST), staphylococcal cassette chromosome mec (SCC mec), antimicrobial susceptibility, food
要旨

 食品中のmethicillin-resistant Staphylococcus aureus(MRSA)のヒトへの感染リスクを把握することを目的に,食肉および魚介類におけるMRSAの汚染実態を調査し,それら菌株の薬剤感受性及び遺伝学的特性を解析した.2017年に都内で流通した食肉・魚介類(国産158検体,輸入112検体)の内,21検体から22株のMRSAを分離した.豚肉(11.3%)および鶏肉(10.5%)で高い陽性率であった.分離されたMRSA株は,バンコマイシンやテイコプラニン,リネゾリド,スルファメトキサゾール―トリメトプリムに感受性であったが,第二世代テトラサイクリン系薬剤であるミノサイクリンに耐性を示す株が3株,フルオロキノロンには7株,アミノグリコシド系薬剤であるアミカシン,ゲンタマイシン,カナマイシンにはそれぞれ3株,8株,9株に認められた.輸入豚肉から分離されたMRSA8株中7株の遺伝子型は,CC398,SCCmec Vであり,欧米で流行している家畜関連型MRSAの遺伝子型と一致していた.また,それらの株は全てtetKtetM遺伝子を保有し,テトラサイクリン耐性,ミノサイクリンに対しては耐性または中間を示した.国産食肉由来MRSA 7株の遺伝子型は,国内の市中感染型MRSAで認められるCC8,SCCmec IVであった.一方で,院内感染型MRSAで多いSCCmec IIの遺伝子型を保有する株は,今回分離されなかった.都内に流通する食肉及び魚介類等から,国産品,輸入品由来で異なる遺伝子型のMRSAが検出され,食品からヒトへの感染リスクが危惧された.

〔感染症誌 94: 186~192, 2020〕
別刷請求先:
(〒116-0073)東京都新宿区百人町3-24-1
東京都健康安全研究センター微生物部 下島 優香子

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