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日本感染症学会 感染症遺伝子検査委員会では感染症遺伝子検査の現状と要望を把握するために2018年10月から11月に会員を対象に第2回のWebアンケートを実施した.回答者は201名であり,感染症専門医は50.7%であった.病床数では500床以上が48.8%と最も多く,微生物検査室が院内にあるのは82.6%であった.感染防止対策加算については,加算1を取得しているのが81.6%であった.感染症遺伝子検査の意義については,感染症診療と感染制御において重要・必要だと思うという回答がそれぞれ92.5%と89.6%であった.また,感染症遺伝子検査を実施するのに有用な場面については,前回調査と同様に培養困難(長期培養が必要)な病原体の迅速検出が可能という回答が89.1%と最も多かった.前回調査と比較すると,薬剤耐性遺伝子や毒素の検出が可能と回答した割合と網羅的に病原微生物を検出可能と回答した割合が前回調査よりも有意に増加していた.感染症遺伝子検査を自施設で実施しているのは36.3%,外注で実施しているのは33.8%であった.自施設で全自動遺伝子検査システムを使用していたのは17.9%であり,前回調査の7.4%から有意に増加していた.多項目遺伝子関連検査については,導入しているのが7.0%,検討しているのが11.9%であった.多項目遺伝子検査を導入している施設では,全診療科で実施しているのが57.1%,依頼があった場合のみ実施が35.7%,一部の診療科のみで実施が7.1%であった.今回の調査において,感染症遺伝子検査に対するニーズが高いことと全自動遺伝子検査システムの導入が進みつつあることが明らかとなった.多項目遺伝子関連検査については,臨床背景等を含めて総合的な判断が必要であるため,当委員会が公表している実施指針で「検査結果を適正に判断するために感染症専門医もしくは臨床検査専門医は必須」としている.そのため,今後は,感染症遺伝子検査の運用面も含めて実態を把握していくことが重要であると考えられる.
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