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原著
クリニックにおける外来抗菌薬処方動向分析―保険薬局と連携した簡便なセルフチェックの有効性―
くろさきこどもクリニック
黒崎 知道
(令和元年10月11日受付)
(令和2年1月16日受理)
Key words: antimicrobial resistance (AMR) action plan, antimicrobial stewardship, antimicrobial prescription, pediatric clinic
要旨

 厚生労働省は薬剤耐性(AMR)アクションプランを策定し,抗菌薬の適正使用を求めている.この取組に賛同し抗菌薬処方の現状を省みるため,今回の研究を思い立った.

 保険薬局の協力を得て,自施設の抗菌薬処方量についてフィードバックを受けた.応需処方箋から抗菌薬処方量と処方箋枚数を調べ,経年動向を調べ自分の抗菌薬処方の現状を省みた.また,同様の手法で近隣のクリニックの抗菌薬処方動向も調査した.

 抗菌薬処方枚数は処方量と正の相関を示した.対受診患者1,000人の抗菌薬処方枚数は2009年125,2011年199.3,2014年173.3,2016年171.1,2017年103.0,2018年38.6であった.「抗微生物薬適正使用の手引き」が公表された2017年下半期から抗菌薬処方枚数が減少し,2011年と比較し2018年は処方全体の-80.6%であり,経口セフェム系薬,キノロン系薬,マクロライド系薬に限ると-89.6%でありアクションプランの目標を達成していた.抗菌薬種類別にみると,ペニシリン系薬主体の治療で対応可能であった.第3世代経口セフェム系薬の微増傾向が判明したが,第1世代セフェム系薬でも対応可能な皮膚疾患等に第3世代セフェム系薬の処方を行っていた.近隣耳鼻いんこう科クリニックの抗菌薬処方数を検討したところ,著明な減少を認め,地域における抗菌薬処方の減少を確認できた.

 処方枚数から抗菌薬の処方量の動向を推定することは可能であり,自己の抗菌薬処方の傾向を省みることにより抗菌薬不必要,不適切使用の低減に繋がると考えられる.

〔感染症誌 94: 304~309, 2020〕
別刷請求先:
(〒263-0043)千葉市稲毛区小仲台6-23-6
くろさきこどもクリニック 黒崎 知道

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