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原著
腸内細菌科細菌による小児有熱性尿路感染症の薬剤感受性の10年間の推移
1)千葉市立海浜病院小児科, 2)千葉市立海浜病院感染症内科, 3)千葉市立海浜病院臨床検査科
寺中 さやか1), 阿部 克昭1)2), 静野 健一3), 寺井 勝1)
(令和元年9月20日受付)
(令和2年3月3日受理)
Key words: urinary tract infection, antimicrobial susceptibility, Enterobacteriaceae, extended-spectrum β-lactamase (ESBL), AmpC
要旨

 2009年から2018年までの10年間に当院小児科において有熱性尿路感染症の診断で入院した患者320名・339例の尿より分離された腸内細菌科細菌341株を対象とし抗菌薬感受性を調査した.入院時の年齢は日齢11~14歳9カ月(中央値:日齢174),男児195例,女児144例であった.菌株はEscherichia coliが297株(87.1%)で大半を占めた.extended-spectrum β-lactamase(ESBL)産生菌は16株(4.7%)であり,すべてE. coliであった.CTX耐性率は2014年までは2~4%と低値で安定していたが,2015年以降耐性株が増加し,直近2年は10%以上を占めた.LVFX耐性率も近年上昇傾向をみとめ2018年は13%を超えた.一方でCMZは感性率90%以上を保っていた.TAZ/PIPCの感性率は2010年以降95%以上,MEPMの感性率は全期間100%であった.

 小児における腸内細菌科細菌の抗菌薬耐性化は現時点では成人と比較すると深刻ではないといえるが,ESBL産生菌やAmpC過剰産生菌など多剤耐性菌の増加傾向をみとめており,今後も継続して抗菌薬感受性の推移を監視することが必要と考えられた.

〔感染症誌 94: 310~316, 2020〕
別刷請求先:
(〒216-0012)千葉市美浜区磯辺3-31-1
千葉市立海浜病院小児科 寺中 さやか

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