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原著
新型コロナウイルス肺炎患者における抗体検査の検討
1)埼玉県立循環器・呼吸器病センター呼吸器内科, 2)埼玉県立循環器・呼吸器病センター検査技術部
高久 洋太郎1), 倉島 一喜1), 石黒 卓1), 鍵山 奈保1), 沼野 剛2), 小池 真由美2), 横田 進2), 高野 賢治1), 磯野 泰輔1), 西田 隆1), 河手 絵理子1), 細田 千晶1), 小林 洋一1), 柳沢 勉1)
(令和2年5月1日受付)
(令和2年5月26日受理)
Key words: COVID-19, rapid diagnosis, antibody, immunochromatography
要旨

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の診断に,血液由来検体を用いた抗体検査法(イムノクロマト法)の実用化が期待されている.今回我々は,PCR検査でCOVID-19と確定診断された52症例を対象に,新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)抗体検査試薬キット(IgM抗体検出キット,IgG抗体検出キット)の陽性となる時期・割合を検討した.

 最終的には,COVID-19と確定診断された患者全例で抗体陽性が確認された.IgM抗体が陽性化したのは,症状発現から平均11.9日(最短5日,中央値11日)であった.IgG抗体が陽性化したのは,症状発現から平均11.2日(最短5日,中央値11日)であった.IgMキットとIgGキットを比較し,陽性化率・陽性化までの期間に有意差はなかったが,IgMがIgGに先行して陽性化する例はなく,IgMとIgGが同時陽性45例(87%),IgGがIgMに先行して陽性7例(13%)であった.SARS-CoV-2PCR検査陰性で,その後の経過よりCOVID-19ではないと診断した急性期発熱・肺炎患者35例を対象とした検証では,6例(17.1%)で抗IgG抗体が陽性,1例(2.8%)で抗IgM抗体が陽性であった.

 我々の検討結果は極めて限定的なものであり,この試薬の性能評価に帰結するものではない.イムノクロマト法による抗体検査試薬検査の今後が期待されるが,現時点ではあくまでPCR検査に補完的な検査手法として慎重な対応が求められると考えられた.

〔感染症誌 94: 495~499, 2020〕
別刷請求先:
(〒360-0197)埼玉県熊谷市板井1696
埼玉県立循環器呼吸器病センター呼吸器内科 高久 洋太郎

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