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原著
大型クルーズ船内で発生した新型コロナウイルス感染者11例の臨床経過報告:重症化および入院期間長期化に関する因子
1)川崎市立川崎病院内科, 2)川崎市立川崎病院感染症内科, 3)川崎市健康安全研究所
相馬 裕樹1), 細田 智弘2), 伊藤 守1), 永江 真也1), 古橋 和謙1), 坂本 光男2), 野崎 博之1), 清水 英明3), 岡部 信彦3)
(令和2年5月1日受付)
(令和2年5月29日受理)
Key words: COVID-19, clinical course, PCR, mild to moderate case
要旨

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の拡大によって,入院病床の確保が逼迫する問題となっている.指定感染症であるCOVID-19は,一定の基準に則って入退院の決定がなされており,入院期間は長期にわたる.大型クルーズ船によるCOVID-19集団感染事例において,当院では軽症者を含む11例のCOVID-19感染症症例を経験したため,臨床経過から重症化因子と入院期間の延長に関わる因子を考察した.重症度は中国CDCの分類を用いて決定した.11例の年齢中央値は62歳,男性4例・女性7例で,軽症(mild)が7例,中等症(severe)が4例,重症(critical)が0例であった.発症から軽快の基準を満たすまでの日数の中央値は,中等症例13日・軽症例7日であった.発症からPCRの陰性化が確認できるまでの日数の中央値は,中等症例16日・軽症例14日であった.発症から退院までの日数は,中等症例22.5日・軽症例16日であった.COVID-19症例は軽快した後も一部の症例でPCR検査の陽性が継続し,入院期間の長期化の一因と考えられた.また,中等症例と軽症例を比較すると,中等症例は軽症例に比して入院時の血清フェリチンや血清アミロイドA蛋白が高い傾向があった.COVID-19症例の増加による病床数の確保が必要な状況においては,軽症例や入院後に軽快した症例の自宅・宿泊療養が検討される.また経過中に重症化する症例を適切に判別する方法を確立し,治療や二次感染防止のための入院・退院基準に反映することが必要であると考える.

〔感染症誌 94: 500~506, 2020〕
別刷請求先:
(〒210-0013)神奈川県川崎市川崎区新川通12-1
川崎市立川崎病院感染症内科 細田 智弘

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