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原著
市中で発症したCOVID-19肺炎10症例の特徴
東京歯科大学市川総合病院呼吸器内科
寺嶋 毅, 小山 薫, 島田 嵩, 堤 昭宏, 黒田 葵, 岩見 枝里, 中島 隆裕, 松崎 達
(令和2年4月26日受付)
(令和2年5月21日受理)
Key words: COVID-19, community acquired pneumonia, chest CT, ground-glass opacity
要旨

 感染経路が不明なcoronavirus disease 2019(COVID-19:SARS-CoV-2感染症)の症例が日本の各地で報告されつつある.市中で,咽頭痛や咳などの上気道症状,発熱などを呈する症例に遭遇した場合に,COVID-19の可能性をどの程度考慮するかは難しい.市中で発症しSARS-CoV-2のPCR検査を施行し陽性が確認されたCOVID-19肺炎10症例について,経過,症状,検査所見,画像所見を検討した.38℃以上の発熱90%,鼻汁10%,咽頭痛40%,咳80%,痰50%,息切れ60%,倦怠感70%,消化器症状を30%に認めた.家族に体調不良,発熱を認めたのは50%であった.症状出現から診断まで5~12日,受診回数1~3回であった.聴診所見は1症例のみcoarsecracklesを認め,SpO2は8割で95%以上,2割で80%であった.いずれの症例も白血球数増多はなく,リンパ球数減少(1,000/μL未満)を60%に認めた.CRPは70%で5 mg/dL以下の軽度上昇にとどまり,50%でD-dimerの軽微な上昇を認めた.CTでは全ての症例で,両側,多発性のスリガラス様陰影を認めた.末梢の胸膜直下に優位な分布,右下葉にも病変が存在する割合は90%であった.(1)同居者に体調不良者がいる,(2)38℃以上の発熱,(3)リンパ球数の減少,(4)特徴的なCT所見,(5)CTで肺炎を認めるが白血球数や好中球数の増多を認めない,の数項目があてはまる場合,市中で遭遇する感染症においてCOVID-19肺炎の可能性が高いと考えられた.

〔感染症誌 94: 507~513, 2020〕
別刷請求先:
(〒272-8513)千葉県市川市菅野5-11-13
東京歯科大学市川総合病院呼吸器内科 寺嶋 毅

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