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原著
長野県内で発生したヒトアストロウイルス8型による集団胃腸炎事例
1)長野県環境保全研究所感染症部, 2)東京都健康安全研究センター微生物部, 3)横浜市衛生研究所微生物検査研究課, 4)長野県健康福祉部食品・生活衛生課
塚田 竜介1), 森 功次2), 宇宿 秀三3), 熊崎 真琴3), 吉田 徹也4)
(令和元年11月14日受付)
(令和2年6月22日受理)
Key words: human astrovirus, serotype 8, outbreak
要旨

 2008年3月に長野県内の宿泊施設において,集団胃腸炎事例が発生した.患者は当該施設を利用した7グループ57名中の4グループ29名で,主な臨床症状は下痢(75.9%),吐き気(72.4%),発熱(65.5%),腹痛(62.1%)であった.14名の患者便を検査試料として,Human astrovirus(HAstV)遺伝子の検出を試みたところ,12名(85.7%)がHAstV陽性であった.一方,5名の調理従事者便も同様にウイルス検索を行ったところ,発症していた従事者1名を含む4名がHAstV陽性であった.さらに,血清型別を行ったところ,いずれもHAstV 8型と同定された.

 本集団胃腸炎事例はウイルス検査において,患者便から優位にHAstV遺伝子が検出されたことから,主体となる病因微生物はHAstVであると推定された.

 わが国で分離されるHAstVの主な血清型は1型,3型および4型で,8型による集団感染事例の報告は,渉猟したところこれが初めての事例と考えられた.

〔感染症誌 94: 808~813, 2020〕
別刷請求先:
(〒380-0944)長野県長野市安茂里米村1978
長野県環境保全研究所感染症部 塚田 竜介

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