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背景:後期高齢者がインフルエンザを発症した場合,若年層と比較し重症化しやすい.重症化を抑制するためにも抗インフルエンザ薬による治療介入が後期高齢者ではより一層必要であると考えられる.
目的:75歳以上の患者において,baloxavir marboxilの有効性・安全性をplacebo,oseltamivirと比較した.
方法:インフルエンザ合併症のハイリスク因子を有する患者を対象とした国際共同第III相試験(CAPSTONE-2)で得られたランダム化された2,184例のデータについて,75歳以上の部分集団156例に対する追加解析を行った.主要評価項目は,インフルエンザ症状改善までの時間とした.臨床的副次評価項目は,解熱までの時間,ウイルス学的副次評価項目は,ウイルス力価の推移とした.安全性評価項目として,有害事象を確認した.
結果:インフルエンザ症状改善までの時間において,baloxavir marboxil(baloxavir)群はplacebo群に比べ有意な短縮を示し(中央値:65.1時間 vs. 115.8時間,p=0.0346),oseltamivir群に比べ短縮は見られたものの有意差は認められなかった(中央値:vs 79.7,p=0.0846).治療開始後のウイルス力価の減少量において,baloxavir群は,placebo群,oseltamivir群に比べ,2日目,3日目に有意な減少を示した.有害事象については,各群に顕著な違いはなかった.
結論:CAPSTONE-2の75歳以上の患者における,baloxavirのplaceboに対する有効性が確認された.また,ウイルス力価の早期減少から,oseltamivirと比較しても,baloxavirの有用性が示唆された.
(〒852-8501)長崎市坂本1丁目7番1号
長崎大学大学院医歯薬学総合研究科臨床感染症学 髙園 貴弘
E-mail: takahiro-takazono@nagasaki-u.ac.jp
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